高齢期のお話し

高齢期に現れやすい機能低下を学びましょう。

 高齢期は老化現象が顕著になり、様々な身体変化が現れます。また、生活習慣病の症状も現れてきます。

老化はある日突然起こるものではなく、加齢に伴って徐々に変化する生理的な現象であり、40歳前後からはじまり、新陳代謝や心肺機能、肝臓機能の低下がみられ、消化液分泌機能や消化器官の運動機能、歯の欠損による咀嚼(そしゃく)能力の低下など、消化器系にも変化が見られます。

 

高齢者一人一人の相違は、若年者や中年者それぞれの相違以上に大きいことが知られており、病気の症状が乏しく、薬物に対する反応性の個人差が大きいなどの特長もあります。また、身体問題を持つ人が増えると共に、一人で2つ以上の慢性疾患や身体問題を抱える人が増加します。

 

高齢期の問題と対策

食欲不振(一日の食事量に変化が現れます)

 

咀嚼機能や、嚥下(えんげ)機能、胃腸の消化機能の低下、便秘のほかにも、生活の活動量減少、風邪や発熱などの体調不良、心配事や悩み事などの精神的ストレス、睡眠不足や慢性疾患など、食欲不振の原因は人それぞれ違うため、原因を明らかにして対応する事が必要です。

疾患や薬剤などによる食欲不振は医師との連携が不可欠です。

咀嚼機能や嚥下機能の低下では、食べ物を柔らかく調理したり、小さく切るという工夫が必要です。しかし、料理を一律に刻んだり、全て柔らかくするといった対応では、摂取する食べ物が制限されるために、必要な栄養素が摂りにくくなります。

 

また、ドロドロしたものばかりでは、咀嚼機能を使わなくなることにより、かえって機能を低下させてしまうこともあります。個人の能力に合わせた食事を用意することも大切です。 

味覚(味の感じ方に変化が現れます)

 味覚は舌の表面や口腔内や粘膜に存在する味雷(みらい)という部分で感知されています。この味雷を感じる経路に問題が生じると味を感じにくくなります。高齢者は加齢と共に味を感じにくくなることがあり、食事は濃い味付けになる傾向があります。

健康を考慮し塩分を控えると、ますます味を感じにくくなり、食欲を失うことの方が塩分の摂り過ぎよりも重大です。食事全体が薄味であっても一品だけは濃い塩味のものを添える、うま味や酢を上手に使うなどの工夫で、満足感が得られる食事となります。

 

水分不足(喉の渇きを感じにくくなります)

 体内に蓄えられる水分量は、加齢と共に減少し、新生児が80%であるのに対して高齢者は50%程度になります。

また、腎臓の能力が低下し、必要以上に尿が出て脱水傾向になりやすくなります。重度の脱水症状の場合は、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなるなど命にかかわり、軽い脱水症状の場合でも、体の代謝の低下や血液がよどみやすくなるなどの問題が起こります。

水分補給は、普段は喉の渇きでわかりますが、高齢者は渇きを感じる神経の働きも鈍くなるため。喉の渇きも感じにくくなります。

高齢者は喉の渇きに関わらず、入浴前後や睡眠前、起床後など時刻を決めて水分を補うことが重要です。しかし飲み物だけで補うことはなかなか難しく、水分量の多い食事を心がけることが大切です。

便秘(排便が不規則になりがちになります)

腸の蠕動(ぜんどう)運動は、年齢と共に低下するため、便秘になりやすくなります。消化の良いものばかり食べることで機能低下をさらに助長します。

食物繊維の多いイモ類や海藻、豆類、きのこ類、野菜を積極的に摂り、水分を充分に補うことが必要です。また、軽いマッサージを行うことにより、腸を刺激して便を出しやすくしましょう。

 

骨粗鬆症(知らず知らずのうちに折れている事もあります)

骨粗鬆症は、骨密度が減少することによって骨がスカスカになってもろい状態になり、骨折しやすくなる病気です。

骨量は骨格の成長と共に20歳くらいまで増加して、成人期にピークとなり、その後次第に減少していきます。そのため高齢者に骨粗鬆症が多くみられます。

原因の一つはカルシウムが不足することであり、乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などカルシウムを多く含む食べ物を充分に摂取する必要があります。

また、運動をすると骨の新陳代謝が活発になり、カルシウムが骨に吸着するのを助けるため、適度な運動も必要です。

 

高齢期の具合的な取り組みを知る

  1. 一日三食きちんと食べましょう。
  2. 低栄養や偏った食事にならないように、主食、主菜、副食をそろえて、栄養バランスが取れた食事を心掛けましょう。
  3. 健康状態や体調に合わせて食事内容を工夫してみましょう。
  4. 友人や家族と楽しみながら食事をするように努めてみましょう。
  5. 歯科医師での定期健診や保健所での歯科検診などを受け、歯の健康管理を意識してみましょう。