痩せるゼリーに見る流通経路の闇

食べるだけで簡単に痩せる夢のような製品があれば、誰でも欲しくなるのは当たり前。

ですが、そんな製品に未承認の成分を含んでいたら…。

 

未承認の成分を含む健康食品をインターネット上で販売した医薬品医療機器法違反の疑いで、10月19日、ベトナム国籍の女が逮捕されたのは記憶に新しいところです。

すでにアメリカでは54名が死亡しており、商品にはシブトラミンという成分が含まれており、厚労省の未承認成分です。

一時期食欲を抑制する作用があるとされており、アメリカでは肥満治療に用いられていたことがあります。ですが、血圧の上昇や心拍数の増加という副作用も強いことから使用禁止になっています。

 

どのように流通したのか

容疑者は、ダイエットへの切なる願いに付け込んで、未承認成分入りのゼリーをばら撒いてきた。

日本名でFacebookに登録し、痩せるゼリーの宣伝に熱心に行い、メルカリやラクマといったフリマアプリを使い販売、昨年12月から今年の8月までで約50件の依頼を受け、33万円ほどを売り上げた模様。

痩せるゼリーはベトナム製で、日本で流通させるには輸入の必要があり、国が未認可の薬効成分などが入っていれば税関で止められる訳ですが、ベトナム国籍の容疑者は巧みな方法で国内に入れたとのこと。

 

輸入会社を経由させる方法で堂々と

製造元のベトナム企業は、日本の輸入企業に卸すという方法で国内に入れたようですが、ここで税関の検査等も一切受けず、未承認成分が含まれた製品が堂々と入ってしまいました。

日本国内に輸入される荷物の量は膨大であり、すべてを検閲することはほぼ不可能なのが現状で、偽物のブランドバッグが日本国内に流通していることが度々話題になっているように、今回の痩せるゼリーに関しても、検閲をされないまま日本国内に流通したのが現状です。

 

健康被害の報告で明らかになれど…時すでに遅し

実際に使用した消費者から使用した直後から体調に変化が現れといった報告が後をただず、これをきっかけに行政が動いたことで発覚した今回の事件ですが、使用した本人たちの健康被害は予想以上であり、個人差はあれど副作用で苦しんでいるという話も聞きます。

痩せたい一心で飛びついた製品で、まさか健康被害を被るとはだれも想像がつきませんが、この様な事案が身近にあるというということを認識しなければなりません。

 

敷居が下がった個人輸入は慎重に

インターネットさえつながっていれば、世界各地から色んなものを個人でも輸入できるようになりました。とても便利な世の中です。

ですが、同時にリスクを負っているという事を認識したいてものです。特に口から入れるすべての製品については、輸入に関して慎重になるべきです。

 

輸入業者が自ら輸入し販売した場合に何らかの健康被害が発生すれば、輸入業者の責任の下で保証等が発生しますが、個人輸入の場合は原則自己責任になり、行政のサポートはほぼ皆無です。

 

今回の事件は、容疑者と輸入業者との関係がどのようになっているかは、今後の事件捜査で明らかになりまいず、健康被害を負った消費者の保証はどうなるのか注目したいところです。